成蹊大学理工学部物質生命理工学科
Department of Material and Life Science, Seikei University

本の紹介

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「博士の愛した数式」、小川洋子、新潮文庫


あらすじを説明するだけではこの小説の内容を伝えることはできません。悲しみ、迷い、後悔、あきらめ、そんな感情がめぐりめぐって、優しさ、愛情の中にとけ込んで行く過程が数式の美しさと相まって語られる小説です。

「80分しか記憶が保たない」というメモをいつも身体につけている数学博士と新しい家政婦さんとその息子の交流という一見ふつうのお話を小川洋子さんの不思議な透明感のある文体で語ることによって、ふつうのお話の背景にある絶望と希望が浮かび上がってきます。

映画化もされましたが、映画は小説の重要な部分を変えていますので、できれば原作を先に読んでください。映画を見てしまった人もあらすじを忘れた頃にぜひ原作を読んでください。数学に興味のある人も無い人も何かを感じられる小説だと思います。

2010年1月22日