錯体は有機物よりも一般に構造が複雑なので、組成や構造を決定するには様々な手法を組み合わせて行います。
なんといっても基本です。元素組成(C,H,N等が何%入っているか)が計算値と一致しなければいけません。有機化学では最近は古典的な元素分析をしない風潮のようですが、錯体の分野ではこれがあわないと、キチンとした研究とは認められません。これにはCHN 有機元素分析、蛍光X線、ICP 発光、原子吸光 などの方法があります。
これがなければ錯体の研究はできません。下記は当研究室保有の装置です。これによって結晶中の錯体の構造を決定します。
上の機械を使うと例えば下記のように構造を手に取るように知ることができます。下は[Pt(binap)2]錯体の立体図です。
錯体でもよく用いられます。 構造決定のためというよりはむしろ性質の研究に用いられますが、構造に関する情報を得ることもできます。
NMR は、反磁性の錯体であれば、強力な手段です。1H、13Cだけでなく錯体の分野では、31P、195Ptなど多くの核種のNMRが研究に用いられます。下の図ではmerとfacの異性体を表していますが、この2つは31PのNMRを測定すれば右図のように一発で区別がつきます。